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● 性別
男性
● 都道府県
兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

「やっぱりお前!」HUBvsビリー、死闘の果てに

2013年11月21日 12:36

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 大阪プロレスや沖縄プロレスで活躍し、現在はフリーとして数々の団体のリングに上がっているHUB選手。2013年10月23日、初の自主興行を開催しました。メーンは大阪プロ時代からのライバル、ビリーケン・キッド選手との一騎打ち、しかも「とことんやりたい」との思いから、試合形式は61分3本勝負となりました。

HUB、燃えたぎる心で来い!我が唯一の好敵手ビリーよ

 戦前は膝などに故障を抱えるビリー選手の状態が心配されていましたが、いざ始まってみると素晴らしい名勝負が繰り広げられました。今回はその試合をレポートするとともに、2人のバックステージでのインタビューを掲載します。


◇    ◇


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 会場は超満員。早々とチケットは売り切れた上、当日券を求めて来場する人も多数いたといいます。好カードが揃っていることはもちろんですが、メーンのHUBvsビリーの一戦への期待感が充満していました。

 

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 第1試合に組まれていたシングルマッチ。発表されていなかった瀬戸口直貴選手の相手「X」の正体は、なんと「ゴア」。客席から大きなどよめきが起こりました。HUB選手が大阪プロレス時代のキャラクターの1人です。

 HUB選手「瀬戸口とはシングルでもタッグでも初対決で。瀬戸口は沖縄組が出てしまってからデビューしたんですね。それが切なかったというか。デビュー前は僕が指導してたので。いつかやりたいとは思ってました。なかなか機会がなかったので、自分の自主興行でやってしまおうと。」

 その熱い思いに応えるように、瀬戸口選手も現在の力の全てをぶつけていきました。ゴア選手が実力差を見せつける形になったものの、長年肩の怪我に悩まされながらも、現在は大阪プロ正規軍のリーダーを務めるまでになった成長を示していました。

 

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 第1試合直後に、ゴア姿のままで本大会のプロデューサー・HUB選手があいさつ。

 HUB選手「お前らプロレス好きなんだろ?今日集めたメンバー、みんなプロレス好きばっかりだからな。オイ!恥ずかしがってたら損するぞ。今日一日、馬鹿騒ぎして、いっぱい酒飲んで"プロレス最高!"って帰ろう!」

 

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 いよいよメーン、HUBvsビリーの一戦が始まろうとしています。この試合はライバル対決というだけでなく、HUB選手がゼロワン・天下一ジュニアトーナメント優勝と同時に獲得したジュニア二冠(インターナショナルジュニア&NWA世界ジュニア)のタイトルマッチでもあります。記念撮影では、ピーンと張り詰めた空気が流れました。

 

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 ゴングが鳴りました。意外と言うと失礼でしょうか。ビリー選手は全く怪我を感じさせない動きで試合を有利に進めます!

 

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 長らく封印していた変形腕固め・エスペランサがガッチリと決まった!低迷にあえいでいた2011年、九州での修行で身に付けたこの技で復活を遂げ、見事に大阪プロレス王者に返り咲いたのです。さすがのHUB選手もタップ。ビリー選手が1本目を奪取です!

 

◆61分3本勝負・1本目

●HUB
[エスペランサ]
○ビリーケン・キッド

 

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 HUB選手も負けてはいません。ビリー選手の左足に狙いを定め、代名詞とも言える必殺技・猛毒波布空爆で3カウントを奪いました。2本目はHUB選手の勝利、これで1対1のドローとなりました!

 

◆61分3本勝負・2本目

○HUB
[猛毒波布空爆→エビ固め]
●ビリーケン・キッド

 

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 運命の3本目は、両者が死力を尽くす壮絶なものになりました。HUB選手は亜留魔下首領 (アルマゲドン)、ビリー選手はベルティゴと、試合が終わってもおかしくない大技を出しても決まりません。

 

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 双方技も出し尽くし、リング中央で足を止めて殴り合います。

 

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 「ありがとう!」


 「やっぱりお前だよな!」


 力の限り拳を交わす両者。その表情は笑顔で、そして泣いていました。

 

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 消耗戦の中、HUB選手の頭突きで崩れ落ちたビリー選手に、雪崩式のぺディグリー、そしてなんとHUB選手はコーナーに駆けあがると、さらに2階席付近までよじ登っていきます!

 

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 かつて沖縄プロ時代、本拠地・デルフィンアリーナ国際通りで、大一番だけに見せた猛毒波布空爆があったといいます。コーナーではなく、会場のバルコニー部分から放つスプラッシュ。特殊な形状だった会場だからこそ繰り出すことができた技です。その名を「究極波布空爆」。幻の技を大一番で復活させ、死闘に終止符を打ちました。

 

◆61分3本勝負・3本目

○HUB
[究極波布空爆→片エビ固め]
●ビリーケン・キッド

(2-1でHUBの勝利。ジュニア二冠の初防衛に成功)

 

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 決着直後、しばらく抱き合って言葉を交わす2人。会場は万来の拍手に包まれました。

 

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 ビリー選手「初めての自主興行の相手に選んでくれてありがとう。本当に、シングルでお願いされてメチャクチャ嬉しかった。その時、ちょっと体の状態も良くなくて。プロレスに対する情熱も失いかけてたんだけど、そのオファーがあって、体調を戻すことを必死で頑張れた。HUBのおかげで選手寿命が延びたと思ったけど、今日の試合で寿命が縮まったね(笑)。

 HUBとやるのは特別だから。本当に自分の体はどうなってもいいと思うし、今日で終わってもいい、そんな気持ちでリングに上がった。今のビリーケン・キッドはこんなもんで、お客さんも満足できるもんじゃないと思うけど、俺は今日持てる100%以上の力をお前に出させてもらった。本当に感謝してる。今日はどうもありがとう!」

 

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 HUB選手「あなたが、試合前から調子悪いって聞いてたんで、(第1試合と)2試合やったんですけど、思いのほか元気で。俺はメチャ嬉しいですよ。(涙声で)やっぱりアンタが元気ないとね、俺も元気になれないからね!アンタがいて俺がいると思ってるから!

 今日は本当にもう...30分近い試合で、もしかしたら自分が求めていた試合じゃなかったかもしれないですけど、でも、自分とビリーさんが、何年も前から築いてきたものを、今日、少しでもお客さんに見せられたらいいかな、と思って、ヨシとしてください!」

 

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 自主興行の大変さが身に染みた、と言いながらも「また機会があれば、アンタとやりたいです。HUB対ビリー、見たいかー!」と、未来の再戦を誓ったHUB選手。戦前のピリピリした空気は消え、幸せな空気が会場を包みました。

 

◇    ◇

 

 バックステージでは、穏やかな表情でインタビューに応えてくれました。

 

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◆ビリーケン・キッド選手


――HUB選手とのシングルマッチが終わりました。


 ビリー選手「体の調子は近年になく絶好調でした。痛みとか全く無かったんですけど、今、あちこち痛くなってきましたね。試合前に人生で2回目の座薬をやってきたんですけど、それが効いたのかもしれませんね。あとはアドレナリンで何とかなるだろう、というぐらいまでは怪我の状態も良くなってたんで。あとは、ここまでの激しい試合がしばらくなかったんで、どれぐらいいけるのかな、僕の体が、スタミナが持つのか、というのが心配だったんですけど。まあ、どうなんですかね。最後はもう気力というか、あまり技術とかスタミナとか関係ない戦いなんで。気持ちがあればなんとかなるのかな、って。でも、あそこまでやられたら、かなわないですね。」


――結果的には敗れてしまいましたが、エスペランサで1本を先取しました。


 ビリー選手「以前にHUBとやったときに、お客さんから"HUBさんは色んな新しい技を持ってるけど、ビリーは技が変わってない"みたいなコトを言われたんですね。技を増やせばいいってモンでもないとは僕の中ではあるんですけど、その言葉が僕の中でひっかかってて(笑)。その後にできたのがエスペランサだったので、新しい技でHUBから1本取りたいというのがあったんです。でもいかんせん地味な技なんで、普段はあまり使ってない技なんですけど。ただ今日は、まず1本取らないと、というのがあったんで。うまく決まって良かったです。」

 

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――HUB選手はこの一戦で、ビリー選手が復活することを願っていました。


 ビリー選手「前やった時もそんな感じでしたね(笑)。結局いつも、僕はそうやってハッパかけられて何とか生きてきてるんで。またこっから、自分自身どうなるか分からないですけど、まだやれるな、頑張れるなっていう気にはなりました。でもいかんせん、今日でまた選手寿命も命も縮まってるんで(笑)。自分のゴールも考えつつ、もうひと頑張りしなきゃな、っていうのは思いましたね。」


――ファンに向けてメッセージを。


 ビリー選手「ビリーケン・キッドはまだ終わらないんで。もうひと踏ん張りしますんで。もうちょっと時間をください(笑)。すぐに、というのはね。今日のダメージも尾を引くので。でも気持ちの面で盛り上がっってきてるんで。人間って気持ちの生き物ですから。今日はHUB選手から、夢と元気をもらいました(笑)。」

 

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◆HUB選手


――初の自主興行が終わりました。


 HUB選手「いやー、イメージしたのと全然違いましたね、自主興行というのは。常設会場で手間はそんなに無かったんですけど、当日になったらバタバタバタバタで、主催者のしんどさが分かりまして。1試合目でゴアでやって、メーンで、しかもタイトルマッチで3本勝負...もう、二度とやらないですねこんなの(笑)。試合途中から"もうやらねー!"みたいな感じでしたけど。試合のしんどさより、自主興行の苦労が先にきました(笑)。自主興行の主催者って、チケットや何やらでバタバタして試合がおろそかになってる人が多いんですよね。それがイヤだったんですけど、いざその立場になってみると、せっかく来てくれたお客さんに迷惑をかけられない、って考えが働いてバタバタと。...もう次はないかもしれないです。」


――ライバルのビリー選手とは久々の一騎打ちでした。


 HUB選手「ぶっちゃけ"タイトルマッチだったのか?"って感じですね。試合の途中から何本目だっけ?みたいな感じになって。もうろうとしてしまって。自分は試合をイメージしてから臨むんですけど、全然イメージとは違う試合になっちゃって。それが嬉しくもあり、悔しかったですね。でもビリーさんが元気だからこそ、そんなイレギュラーな形になったと思うので。それはそれで良かったのかなと。」


――フィニッシュ技はコーナーではなく、2階席付近まで登っての猛毒波布空爆。


 HUB選手「あれは沖縄で何度かやったことがある技(会場の上部まで上がっての猛毒波布空爆)だったんですけど、この会場ならではというか、自分は会場の空間を最大限に利用するプロレスが好きなんで。やっぱり『(会場を見て)あっ!沖縄の会場みたいに登れるな』って思いますよね。スプラッシュも何度やって無理だったんで、これしかないと。あれで決まらなかったらもうダメだった、という思いです。」

 

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――お互い泣き笑いで殴り合うシーンもありました。


 HUB選手「この人生、世の中、色々あるじゃないですか(笑)。そういうのが全部オーバーラップしまして。しんどいけども、この人とだったら、みたいな感じで。頭の中真っ白でしたね今日は。痛いけれど嬉しいというか。なかなか試合して泣ける相手っていないですけどね。嬉しかったですね。」


――エンディングで再戦の話も出ましたが。


 HUB選手「再戦はしたいですよ。来年(2014)の3月2日にデビュー15周年なんですよ。その日は日曜日なんです。ここを取っちゃおうかなと。ビリーさんにオファーかけといたら逃げられねぇんじゃないかって(笑)。でもシングルマッチじゃなくても、必ず。それぐらい思い入れがあるんで。ライバルって毎日でも戦いたいからライバルなんで。」


――最後に、来場してくれたファンへメッセージを。


 HUB選手「イメージしてた興行ができなかったのが悔しいというか、アレなんですけど。興行を打つノウハウも全くなくて、半年くらい前からチョコチョコ考えて。素人みたいな考えで始めてしまったんですけど、そんな興行が超満員になってくれたので、お客さんには感謝しかありません。でもこれで終わりにしたくないので、今回は自分の中で満足できなかったので、それを次回、近いうちにやりたいと思います。今日はお足元の悪い中、ありがとうございました!」

 

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 大会後は会場向かいのプロレスバー「2・99」でトークイベントを開催しました。内容は参加した人たちだけの秘密...というよりも、ここではとてもじゃないが書けないことばかり。お酒に弱いため、普段はほとんどアルコールを口にしないビリー選手もビールを何杯もおかわりして"絶口調"です。

 イベント後も、朝まで語り合ったといいます。かねてから「あくまでライバル。仲がいいとかいうことはないし、距離を取っている」と言っていたのですが...もしかしたらこの夜、双方の間にあった壁が消えたのかもしれません。


 HUB選手とビリー選手、まだまだ続いていくライバル対決。今はただただ、この素晴らしい男たちに、心から拍手を送りたいと思います。


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