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兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

HUB、燃えたぎる心で来い!我が唯一の好敵手ビリーよ

2013年10月 7日 13:00

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 HUB選手。大阪プロレス、沖縄プロレスを経てフリーとなり、現在はドラゴンゲートやWRESTLE-1など、各団体のマットで活躍するトップレスラーです。先日行われた、ゼロワンのシングルトーナメント戦「天下一ジュニア」では初優勝を果たし、同時にインターナショナルジュニア&NWA世界ジュニアの2冠王者となりました。まさに今、充実期を迎えています。

 そんなHUB選手が初の自主興行「毒人(どくんちゅ)」(10月20日・道頓堀アリーナ)を開催します。メーンは永遠のライバル、ビリーケン・キッド選手(大阪プロレス)との一騎打ち。試合形式は61分3本勝負、しかも、獲得したばかりのジュニア2冠王座もかけられるといいます。

 多忙なスケジュールの合間を縫って、HUB選手がインタビューに応えてくれました。次々と飛び出す意外な裏話。考え始めたキャリアの"終着点"。ライバルへの思い。あきらめかけた時に背中を押してくれた言葉とは?

 今いちばん旬なレスラーの熱い言葉に、静かに耳を傾けてください。


◇    ◇


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◆どうしても欲しかった「天下一ジュニア」


――まずは天下一ジュニア優勝、ジュニア2冠王座奪取おめでとうございます。


 HUB選手「ありがとうございます。フリーになってから、シングルのタイトルは初になります。」


――天下一ジュニアは、どうしても欲しかったタイトルとのことですが。


 HUB選手「沖縄プロレスでやってて、1年半ぐらい経った時...沖縄は"隔離されている"というと語弊があるかもですが、他の団体との絡みもなく、マスコミさんも取材に来ないですし。なんだか気持ちも燃えないし、やりがいを見失いつつあったんです。大阪から応援に来てくれたファンからも「体つきが変わった」とか「前はもっと凄かった」とか言われて。プロレス界ではもう、上に行けないかな、って、ちょっと腐りつつあったんです。

 そんな時にゼロワンさんの沖縄大会があって、出場オファーをもらったんです。自分にとって、アピールするラストチャンスの思いで参戦しました。それで目をつけてもらったみたいで、東京の大会にも呼んでもらえるようになって、タッグ王者にもなって、その年の天下一ジュニアで準優勝。おかげで名前を広めることができて、ゼロワンさんには恩義を感じてたんです。そういう経緯もあって、いつかは思い入れのある天下一ジュニアで優勝したかった。嬉しいです。本当にいい流れになっているのを感じます。」


――天下一ジュニアには、大阪プロのビリーケン・キッド選手、タイガースマスク選手とともに「チーム大阪」の一員という形で参戦。これまで大阪プロの選手とは距離を置いていた感じもありましたが、優勝後は2人に感謝の言葉を並べていました。少し意外な気もしたのですが。


 HUB選手「大阪プロと沖縄プロの分裂の話は、デリケートなことが絡んでくるので言葉を選ばないといけないんですけど、根本的に選手同士の仲が悪いわけではないですし。自分の中で、普通に感情を表したら、やはりあの2人には感謝しかなかったですからね。」


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◆考えるようになった「引退」の2文字


――10月20日に初の自主興行を開催。この時期にやろうと思った理由は。


 HUB選手「実は自分は引退するまで、自主興行はやるつもりはなかったんです。自分の所属する団体がなくなる(注:沖縄プロは2012年8月から活動休止状態)とは思ってなかったですし、自分は気難しくて人見知りするので、フリーになることはないと思ってました(苦笑)。でも気付いたらフリーになって、色んな団体に呼んでもらえるように、頑張っている自分がいました。

 フリーとして活動していく中で、35歳という決して若くない年齢になって、何か思い出を残したいと考えるようになったんです。あくまで自分は"プレーヤー"としてお客さんに喜んでもらう、というのがスタンスだったんですけど。年齢には勝てないですし...『引退』という文字も、脳裏をかすめるようになってきた。体の動くうちに、まだやってないことをやりたい、と思うようになって。そう考えるとまだ自主興行をやっていなかった。いつか僕にも家族ができた時に、子どもに『これ、父ちゃんだよ!』って、自主興行の映像を見せたいというのもありますね。」


――キャリアの"終着点"を考え始めているのでしょうか。


 HUB選手「うーん、正直、30歳を過ぎた頃から考えるようになりました。まだ体力的には衰えは感じていないんですけど、この先、40歳とかになった時に大丈夫かな、って。フリーは団体に属してないので、守られていない、一寸先は闇な存在なんです。試合をしなければ生活もできないし、怪我をしても何の補償もない。そんな中で、もし何かしらの事故があってプロレスができなくなった時に、自主興行をやってなかったら後悔すると思ったんです。」


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◆当初の予定ではメーンは...


――自主興行ではマッチメイクや営業など、全て一人でやらなければいけない。自主興行を開催して初めて、チケット一枚の重みを感じる選手も多いと聞きます。


 HUB選手「そのことは痛感してます(苦笑)。自分は古い考えかもしれませんが、チケットは営業の人が売って、レスラーは試合だけやってればいい、という考えがあったんですけど。自主興行は全部自分でやらなくちゃいけない。成功したらいいですけど、失敗したら全部自分に返ってきますからね。一枚のチケットを買ってくれるありがたさ、身に染みています。」


――自主興行のタイトルは「毒人(どくんちゅ)」です。


 HUB選手「自主興行をしようと考えた時に、自分の中で『毒人』という言葉はスンナリと出てきまして。当然ながら(有名な沖縄のTシャツブランド)『海人(うみんちゅ)』から来てます。今の自分は、沖縄プロでの4年間がなければ絶対にありえない。タイトルに僕の誇りを込めまています。メチャクチャ込めてます!」


――初自主興行のメーンで、一騎打ちの相手に選んだのはビリーケン・キッド選手。2年半前の、ビリー選手の初自主興行(2011年1月23日・豊中市立ローズ文化ホール)と同じカードになりました。


 HUB選手「実は当初の予定では、メーンはビリーさんとのシングルではなかったんです。ビリーさんだけではなく...もう一人、ある選手を加えての3wayマッチを考えていました。理由?不安だったからです。

 ビリーさんの初めての自主興行で、メーンの相手に自分を選んでくれた。7年か8年ぶりにシングルマッチをしたんですけど、インパクトがあったというか、まるで自分の自主興行だったかのような思い入れがありまして。そのお返しでビリーさんとシングル...というのが一番美しいんでしょうけど...正直、したくなかった。なぜなら、ここ近年のビリーさんは伸び悩んで、プロレスへの熱を失いかけている感じがあったからです。

 もし自主興行をするのであれば、絶対にメーンの試合だけはハズしたくない。対戦相手はシングルでバリバリでガッツガツやれる相手を選びたい。本当はビリーさんが適任のはずだったんですけど...最近は何度かタッグマッチとかで当たっているんですけど、僕の中では響かなかった。何度絡んでも響いてこない。もう、かつての燃えたぎってるようなビリーさんじゃないのかな、って。それならば3wayマッチにしようと。」


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◆背中を押してくれたビリー選手の言葉


――3wayマッチの予定が、なぜシングルマッチに?


 HUB選手「もう一人呼ぼうと思っていた選手も、名前は言えませんが大阪プロ系の選手です。でも、ビリーさんも含めてですけど、2人とも大阪プロ側からOKが出なかった。うーん、簡単に言えば、いわゆる"大阪南北プロレス戦争"の余波を、モロに受けた形です(HUB選手は大阪プロ離脱組が立ち上げた『道頓堀プロレス』に参戦中)。

 メーンが決まらなければどうしようもないので、もう今回は自主興行をやめようとも思いました。他のマッチメイクも進んでなかったですし。でも、そんな時にビリーさんから連絡が来て。『会社が何と言おうと関係ない。決行しましょう、やりましょう』と。それが本当に嬉しくて。携帯を握りしめながら泣きそうになりました。僕はビリーさんが熱さを取り戻すのを待ってたんです。その連絡をもらった時に、やっぱりこの人と、メーンでシングルをやろうと決心がつきました。」


――ビリー選手とのシングルマッチは「61分3本勝負」。なぜこの試合形式に?


 HUB選手「前回は7年か8年ぶりのシングルでしたが、今回は2年半ぶり。インパクトに欠けるじゃないですか(笑)。それならもう、やるならとことんやりましょうと。提案した時は、ビリーさんに『えー!』って言われましたけど(笑)。」


――この試合にジュニア2冠のタイトルをかけると聞いた時は驚きました。


 HUB選手「天下一ジュニアを優勝した後、バックステージでマスコミさんに、ジュニア2冠の今後の防衛戦のことを聞かれたんです。その時に、すぐ横にいたビリーさんに『いつか防衛戦やりたいですねー』みたいな話をしたんです。でも考えたら、まさにシングル戦が決まってるじゃないですか。そこでゼロワンさんに思いを伝えたら、まさかのOKが出ました。許可してくれたゼロワンさんには、本当に感謝しています。」


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◆不調のビリー選手と対戦する意味


――以前の自主興行の際、ビリー選手はHUB選手に、ずっと嫉妬の思いを持ち続けていたと言っていました。


 HUB選手「それを聞いた時、驚きましたね。自分のほうが劣等感を持っていたので。ビリーさんはあんなバキバキの体で、ファイヤーバード(スプラッシュ)とかできるわけで。メキシコ仕込みのオリジナル技ももってて。僕は結構、ビリーさんの動きを盗んだりしてましたね。この人みたいに、色んな技をできたら、と思っていたんです。僕もずっと、ビリーさんに嫉妬を感じていたんです。」


――少し厳しい質問になります。現在のHUB選手は天下一ジュニアを制覇し、ジュニア2冠も獲得、絶好調です。対してビリー選手は大阪プロのタイトル戦線からも遠ざかり、古傷のヒザの状態も相当に悪いと聞いています。客観的に見て、HUB選手が勝って当たり前のカード。今このタイミングで、ビリー選手と対戦する意味はあるのでしょうか?


 HUB選手「うーん...そうですね。凄く重たい質問です。話を聞いているだけで感極まってくるというか。


 (沈黙)


 ...感覚的なもので、最終的になぜビリーさんなのか、というのは自分でも分からないです。

 フリーになってから、ゼロワンさん、ドラゴンゲートさん、大日本さん、全日本さん...と、色んな団体に呼んでもらえましたけど、やっぱり自分が一番、感情を込められる人はビリーさんだった、ということなんじゃないでしょうか。今回の自主興行も、もうやめてしまおう、やらないでおこうと思った時に、自分が一番欲しい言葉、エネルギーをくれたのはビリーさんだったんですよね。どんな状態であれ、ビリーさんと試合をしたいというのもありますね。

 もちろん、お互いがベストな状態だったらいいんですけど、先日のビリーさんの自主興行(9月8日)の時にビリーさんに会って、正直...ショックを受けましたね。こんなにも酷い状態なのかと。だからといって、今さら対戦相手を替えられませんし、替える気もないですし。もしかしたら3本勝負も、あっけなくHUB2連勝になってしまうかもしれません。」


――HUB選手の中で迷いのようなものがある。


 HUB選手「ビリーさんの初自主興行は、色んな絡みで映像を残すことはできなかった。でも今回はできます。小峠(篤司=元大阪プロ、現在はノアで活躍)が出るので、権利の関係で難しいかとも思ったんですけど、許可が出ました。そこにはやっぱり、ビリーさんがいてほしい、という思いは強くあります。色んな選手と戦ってきましたけど、もしかしたら本当のライバルと呼べるのは、ビリーさんだけなんじゃないかと思うようになりました。今回、どんな試合になるかは分からないですけどね。

 初めはこの興行、成功するのかなと不安だったんですけど、お客さんもチケットいっぱい買ってくれて、タイトルマッチといういい舞台も整って。対戦相手の状態は心配なんですけど。でも、そこでお情けでやったら、自分はライバルじゃないと思うので。...叩き潰しますよ。動けないなら動けないで、あっさり2本連取して『ライバル、ありがとうございました』という感じじゃないですか、その時は。

 ...。

 わかんないです。やってみないと分からないですね。


 (沈黙)


 沖縄にいる時に、大阪から来たお客さんが良く言ってくれたのが『大阪プロレスではビリーさんがチャンピオンだけど、相手がいない』って。『HUBさんとビリーさんの試合が一番面白かった』って。逆に、自分と対戦することによって、ビリーさんが復活してくれないかな、という願いも込めているのは事実です。」


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◆お客さんに満足してもらえる興行に


――ビリー選手とのシングルはもちろんですが、プロデューサーとして、興行全体のパッケージのことを考えなくてはいけない。どういった基準で出場選手を選んだのですか


 HUB選手「恩や縁のある人を呼びたかった、というのはありますね。大阪プロと沖縄プロの社長だった(スペル・)デルフィンさんもそうですし、ツバサさんも、自分がヒザの怪我で1年ほど休んだ時に凄くお世話になた人で、今回は何としても出てほしかったんです。

 本当は元沖縄プロの選手ももっと呼びたかったんですけど、スケジュールが合わなくて。エイサー8は出てくれますけど。やっぱり自分が一番楽しかった時のリングを再現したいと。自分は今も"プロレスファン"なので。自分自身がHUB自主興行を見に行ったのをイメージしてマッチメイクしています。

 でも、やっぱり見てほしいのはメーンですね。メーンに尽きます。これがHUBだ、というよりも...『これが俺のライバルのビリーケン・キッドだ』と、満天下にアピールしたいです。」


――最後に、初の自主興行「毒人」へ、ファンに向けてメッセージをお願いします。


 HUB選手「プロレスは見る側もやる側も、楽しくなければダメだと思います。選手はプロレス好きばかり集めたので、お祭り騒ぎで大暴れしてくれるはずです。なのでお客さんも恥ずかしがらずに、大声出して盛り上げてほしいと思います!お客さんが『プロレス最高!』と叫んで帰ってもらえるような興行を目指します!」


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◇    ◇


 リング上で見せる猛々しい姿とはうって変わって、丁寧にインタビューに応えてくれたHUB選手。静かに、しかしながら熱く。ひとつひとつの言葉に思いを込めているような姿が印象的でした。熱く語りすぎて「あれ?何の質問でしたっけ?」と苦笑いするシーンも。

 初の自主興行のメーンは、ビリー選手と運命の一騎打ち。果たしてどんな試合になるのでしょうか。ビリー選手の状態は心配ではありますが、この2人ならきっと、我々の想像をはるかに超える試合を見せてくれると信じています。そう、2年半前がそうだったように。

 

 HUB対ビリー、その物語のひとつの大きな区切りの瞬間を、多くの人に見届けて欲しいと思います。


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