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● 性別
男性
● 都道府県
兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

ビリーケン・キッド、夢と元気と悔しさと<後編>

2013年9月12日 18:34

2013-0912-01.jpg 2013年9月8日に行われた、ビリーケン・キッド選手の3度目の自主興行「夢と元気をビリーからvol.3」。メーンで行われたのはビリー選手と政宗選手のシングルマッチでした。しかしながら、ビリー選手は前日の試合で左足ふくらはぎを肉離れ。動きに精彩を欠くビリー選手は惨敗、政宗選手から辛らつな言葉を投げつけられます。

ビリーケン・キッド、夢と元気と悔しさと<前編>

 失意のビリー選手を見かねてリングインしたのは、盟友・筑前りょう太選手、そしてサプライズ登場したライバル・HUB選手。急きょゴングが鳴らされたエクストラマッチ・6人タッグ戦の行方は?


◇    ◇

 

2013-0912-02.jpg 怒とうの展開に、会場は異様な雰囲気に包まれます。ビリー選手も心強い仲間を得て復活!いきなり3人でガメラス選手を捕らえ、まるで組体操のような合体技を披露しました。


 筑前選手「今のビリーの状態を考えると、(政宗選手とのシングルで)あんなに頑張るとは思わなかったです。だけどやっぱり、一年に一回のあいつの大会で、あいつが見せたい自分の姿じゃない、っていう悔しさがありましたよね。何かあいつ、いつもこんなんでしょ。ここぞという時に(笑)。でも、あいつの本領って底抜けの明るさでしょ。だから...リングに上がってしまいましたね。世話の焼ける奴ですね(笑)。でも、それだけあいつが、僕にいつも何かをくれているからこそ、こうやって何かがあった時に、自分が力になりたいと思うしね。逆に今日は、そのお返しするチャンスをもらったような気がします。あいつは怪我してしまったけど、結局は全て、僕があいつに恩返しさせてくれる、そんな今日だったんじゃないかな。」


 HUB選手「自分も自主興行を控えていて、気持ちがわかるというか。前日に怪我したというのを今日、風の噂で聞いて駆けつけました。もしかしたら、自分が自主興行を控えてなかったら、ビリーさんの思いを分からなかったかもしれない。何だかんだ言って、一周回ってきますね。大阪プロレス...僕も色んな団体に行きましたけど、やっぱり思い入れが強くて。僕にとってビリーさんは初めてのライバルだったので、何とか力になれたらって。」


 

2013-0912-03.jpg 6選手は全員がこの日2試合目。ビリー、政宗両選手に至っては20分超の試合を終えた直後のエクストラマッチ、そう体力も持ちません。短期決戦です!嵐のような展開の中、ビリー選手は場外へトペを敢行!


 

2013-0912-04.jpg そしてリング上は、ビリー選手と政宗選手の一騎打ち状態に!決着の時です!


 

2013-0912-05.jpg 政宗選手は流れるような連続技でビリー選手を攻め立てます。相手の腕を中心に回転し、マットに叩きつける技「雷切(らいきり)」が完璧に決まった!大声援もむなしく、3カウントが数えられました。


◆エクストラ6人タッグマッチ

●ビリーケン・キッド
 HUB
 筑前りょう太
[雷切]
○政宗
 信玄
 ガメラス


  ビリー選手は本編に続いて、エクストラマッチでも敗北。強力な仲間を得ても、やはり手負いの状態で勝てるほど甘くなかったか。しかしもはや責める者はありません。政宗選手もゆっくりと近づき、声を掛けると短く握手。筑前選手、HUB選手も相手選手らと握手を交わし、ノーサイドとなりました。

 

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 筑前選手「ビリーに声を掛けるとしたら?信じることを諦めるなよ、って。俺は九州で絶対に負けないから。お前が負けない限り俺も絶対に負けないし、お前が負けないから俺も負けられない。俺は負けない、お前も負けるな!」


 HUB選手「今日はいい刺激になりました。ビリーさんは怪我負って、20分超える試合して、結果的に負けて、ボーナストラックに負けて...ですけど、怪我に負けなかったですからね。勇気づけられました。元気をもらいましたね。(参戦中の)ゼロワン天下一ジュニアトーナメントをビリー、タイガースマスクと頑張って、10月20日の自主興行(道頓堀アリーナで開催。ビリー選手と一騎打ち)を成功させたいですね。」


 筑前、HUB両選手の助けを借り、ビリー選手がマイクを握ります。


 

2013-0912-07.jpg ビリー選手「すいません、何を言っていいか分からないですけど...ありがとうございました。俺の最高の親友、筑前りょう太、ありがとう。そして、俺の最高のライバル、HUB、ありがとう」

 

 ビリー選手はここで、かつて政宗選手と『ビッグマッチのメーンで、タイトルマッチやろう』という約束をしていたことを明かします。条件は揃ってはいませんが、今大会は政宗選手との約束を果たすべく開催されたものだったのです。


 

2013-0912-08.jpg ビリー選手「夢と元気を皆さんに与えるどころか、裏切ってばかりで申し訳ありません。この今日の悔しさ、皆さんへの申し訳ないという思い、そして僕を助けてくれた筑前、HUB、応援してくれた皆さん、この気持ちは絶対に忘れません。その気持ちに絶対報いたい!そのために僕は、このリングで戦い続けるんです!

 皆さんの声援のおかげで、足の痛みを忘れるほどリング上で戦えました。本当に感謝してます。これからも!僕は!精一杯、このリングで戦い続けます。そして、これからもっともっと皆さんに、夢と元気を与えられるプロレスラーになります!応援よろしくお願いします!」


 

2013-0912-09.jpg 「政宗、勝ち逃げはさせない。僕はこう見えても、とても執念深い男です!」と、政宗選手との再戦を誓ったビリー選手。自主興行のエンディング曲、ウルフルズの「笑えれば」が流れる中...「どんな形になるか分からないけど、リングに上げたいと思っていた」という"ちびビリー"も登場。疲れ切った体で優しく抱き上げると、穏やかな表情で、全身に声援を浴びていました。


◇    ◇


 試合後にビリー、政宗両選手にインタビューすることができました。


2013-0912-10.jpg◆政宗選手


――ビリー選手の自主興行の相手に指名された時、どんなことを思いましたか。


 政宗選手「僕としては正直、自分を選んでくれた感謝と..."なぜ自分なんだ"と。前にいた団体(大阪プロ)で、一度もメーンで組まれたことのない、まあ第3試合くらいのカードですよね。それをビリーの自主興行のメーンでと聞いて、どうなんだろうと。指名された嬉しさよりも、疑問のほうが大きかったですよね。」


――ビリー選手は、政宗選手との約束があったといいます。


 政宗選手「うーん、僕のほうから一方的に、こういう希望があったという話をしたのは覚えています。ただ、それに対してのビリーの答えはどうだったかは覚えていないんです。」


――やはり万全のビリー選手と試合がしたかった。


 政宗選手「そうですね。やっぱりお互いが万全の状態でやりたかったですよね。試合が終わったらボロクソに言ってやろうと思ってました。本当はもうちょっと言いたかったんですけど、人格を否定するようなことになっちゃうんで、手加減しました(笑)。普段はあまりマイクを持たないんですけど、思わず持って、かなりキツいことを言っちゃいましたね。」


――一騎打ちに続き、エクストラマッチの6人タッグ戦も勝利しました。


 政宗選手「うーん...なんか複雑な気持ちですよね。勝って嬉しいですけど、今のビリーに勝って当たり前の状態で2勝して...ビミョーですよね。」


――再戦の可能性は。


 政宗選手「そこなんですよね。正直、お互い年齢のこともあって、年々体力が落ちてきているわけじゃないですか。今の時期にこのカードを組んでもらって、僕はそれに対してベストな状態にもってきた。いつになるか分からないですけど、この次があるとして、その時は今と同じ状態にもっていけないと思うんです。どうしても今と比べて落ちてしまう。となると...どうなんだろうと。うーん、再戦の可能性となると、ちょっと考えてしまいますね。」


――最後に、ファンにメッセージを。


 政宗選手「自分もビリーさんも、あと何年プロレスができるか分からないですからね。それを見守ってほしいですよね。...うーん、なんか暗い話になっちゃいましたね(苦笑)。」


2013-0912-11.jpg◆ビリーケン・キッド選手


――3回目の自主興行が終わりました。


 ビリー選手「本当に、今まで以上にみんなに助けられた興行でした。感謝感謝の気持ちでいっぱいです。」


――メーンの相手、政宗選手とは約束があったと。


 ビリー選手「ずっと僕の心の中に残ってたんですよね。いつかチャンスがあるだろう、ここでプロレスしてたらそういう時が自然に訪れると軽く考えていたんですけど、団体が分かれてしまいまして、僕もこのところチャンピオンから遠ざかってしまっている。仕方が無いという反面、僕の中で約束を果たせなかったというのがあって。今年の自主興行は考えてなかったんです。選手大量離脱とかゴタゴタがあって...。これまで自主興行は3月に開催してたんですけど、団体が大変な時でしたから。でも、今回は政宗との約束を果たそうと。」


――今回は政宗選手とのシングルマッチが前提の自主興行だった。


 ビリー選手「そうです。もし政宗が『イヤです』と言っていたら開催しなかったです。


――しかしながらビリー選手は前日に負傷。


 ビリー選手「それがねー(苦笑)。まあ、怪我があっても無くても、結果は変わらなかったかもしれないですけど。怪我を言い訳にしたくないので、今日は見ての通り、完敗です。」


――やはり万全な状態でやりたかったのでは。


 ビリー選手「そうですね。相手も気を遣って戦ってるところがあったと思うし、自分もどうしても、どこかかばいながら全力で行けない部分もあったし。試合中は痛みを忘れてた部分もあったんですけど、どこかでブレーキがかかってたと思いますね。応援してくれた皆さんには、誠心誠意謝っていくことをしていこうと(苦笑)。」


――エクストラマッチとなった6人タッグ戦で、筑前選手とHUB選手が同じコーナーに立ちました。


 ビリー選手「2人にハッパかけられて、元気もらって。昔からあの2人に助けられてリングに上がってきてるんで。今日リング上で、僕のプロレス人生の一部を、皆さんに見ていただけたかな、と(笑)。2人のおかげで僕があるので。本当に感謝しています。」


――期待感が充満した6人タッグ戦も敗戦。


 ビリー選手「普通は勝ってくれると思いますよね(笑)。しかしそれを裏切るのが、ビリーケン・キッドがビリーケン・キッドたるゆえん、という(苦笑)。いやー、一日、2回も僕に勝つ男は、今までいなかったんじゃないですか。それが自慢になるかどうか分かりませんが。」


――エンディングでは、政宗選手との再戦への思いも。


 ビリー選手「ぜひやりたいですけど、自分の自主興行ではもういいです(笑)。道頓堀の第3試合とか、それか政宗自主興行で(笑)。僕の自主興行でやるより、あいつの作った状況に合わせたほうが、僕もスカッとするので。再戦は急いでやることもないですし。5年後、10年後...東京オリンピックが開催されるくらいの時期にね(笑)。あいつが忘れても僕は今日のことを忘れないので。場所は日本だろうとメキシコだろうと、必ず借りを返します。」


2013-0912-12.jpg――ビリー選手の自主興行のタイトルは「夢を元気をビリーから」。それは実現できましたか。


 ビリー選手「このタイトルね、ぶっちゃけ恥ずかしいので、もう外したいんですけど(苦笑)。今回も考えたんですけど、1回目からテーマにしてるので、ずっと協力してくれている方から『オイ、何だよ』と言われる可能性もあるので。クサいタイトルですけど、僕らしい、僕だからこそ使えるタイトルだと思うようにしています。ひとつ言えることは、試合が終わった後、僕が皆さんから夢と元気をもらっている気がします(笑)。」


――10・20には、今日は共に戦ってくれたライバル・HUB選手との一騎打ちが待っています。


 ビリー選手「また命を削るような試合をしなきゃいけないと思うと、身が引き締まる思いです。僕の第1回目の自主興行での一騎打ちの時、毎年はキツいんで、2年か3年に1回ですかねー、ってHUBさんと話したんですけど、あれから2年半ぐらい経ったんで、そんな時期なのかな、って。あと1カ月と10日、まずは怪我を治してからですね。自分を追い込める体にしてから、そこからHUB戦に向けて考えたいと思います。

 でも今回、僕はプロモーターじゃないんで、その点では気が楽ですね。逆に第1回目の自主興行のHUBさんは、ハンディを背負っているのではないかと。僕はガッチリ、試合に集中させていただきます。」


――最後に、本日来場したファンへメッセージを。


 ビリー選手「本日はお足元の悪い中(注:この日の大阪は快晴)、遅くまでお付き合いありがとうございました。本当に、皆さんのおかげで今の僕があると、改めて感じました。日々の中で忘れていきそうなことを、思い出させてくれた大会になりました。夢と元気を与えられたかどうかはわかりませんが、何かしら皆さんの心に、ちょっとでも残ったり、響いたりしたものがあったなら、良かったかなと思います。自主興行の第4回目は...今年はないと思いますが、プロレス界に絶対はないので、また何かありましたら応援のほどよろしくお願いします。

 これからも大阪プロレス、そしてビリーケン・キッド、頑張って参りますので、皆さん、応援よろしくお願いします。今日はありがとうございました!」


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◇    ◇


 異常とも言える盛り上がりを見せた興行が終わりました。胸を熱くさせてくれた一方、どこか悔しさも残ります。確かにビリー選手の直前の負傷は残念で、万全の状態で政宗選手との試合に臨んでほしかった思いもあります。ですが負傷がなければ、HUB選手が来場することも、エクストラ6人タッグ戦が行われることもなかったでしょう。ビリー選手も「怪我の功名と言えるのかも」と笑っていました。

 特にHUB選手が登場したシーンは、本当に心が震えました。ビリー、筑前、HUBの3選手が同じコーナーに立った時の興奮は今も忘れられません。恥ずかしい話ですが、試合を見ながら涙が止まらなかったのは久しぶりのことでした。会場にいた人たちの心に、夢と元気が刻まれたに違いありません。


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 ビリー選手のセコンドにつき、最後には共に戦った筑前選手。実は現在、体調が万全ではないと聞きました。それでも親友の大事な自主興行に駆けつけての全力サポート。話をさせていただいたのは1年ぶりでしたが、真っ直ぐで表裏のない性格が伝わってきて、なぜビリー選手がこの男に惚れたのか、改めて理解することができました。

 

 そしてライバル・HUB選手とは10月20日、道頓堀アリーナで一騎打ちを行うことが決定しています。第1回目のビリー選手自主興行で、凄まじい激闘を繰り広げた2人。観客が求めるハードルは高いですが、それを軽々と飛び越えてしまう、そんな試合が見られるような気がします。

 

 ビリー、筑前、HUB。3選手が組むことは、最初で最後かもしれません。この"プラチナチーム"を生で見られただけでも、会場に足を運んだ価値があったようにも思えました。


 

2013-0912-15.jpg ビリー選手はとても不思議なプロレスラーです。その実力は言うまでもありませんが、ここぞという大事なところで失敗するもろさも同居している。そして何より、見る者に「応援したい」と思わせる魅力を持っている。今回は、そんなビリーケン・キッドという人間を凝縮したような大会だったように思います。

 

 人々に夢と元気を与えるために。ビリーケン・キッドはまだまだ戦い続けます。 

 


頑なに張れよ
想いが詰まった胸なんだから

ビリーケン・キッド公式応援歌「キッド」より by音夢食堂


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