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● 性別
男性
● 都道府県
兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

アップルみゆき、チバリヨー!琉球の赤き花となれ

2013年4月 1日 03:20

20130401-01.jpg アップルみゆき選手。今年1月にデビュー11周年を迎えたフリーの女子プロレスラーです。飛び抜けた実績はないものの、テクニカルな試合からコミカル、セクシーまでこなし、引き出しの多さは業界屈指。近年は大阪プロレスなどの男子インディーや女子団体に参戦、昨年は有刺鉄線デスマッチにも挑戦し話題となりました。

 そんなアップル選手が2013年3月24日、大阪プロのIMPホール大会で、4月28日に沖縄で旗揚げされる新団体「琉球ドラゴンプロレスリング」に、所属選手として参加することを発表しました。


アップルみゆき、沖縄の新団体に参加


 当然ながらアップル選手は大阪を離れることになります。この発表を聞き、ファンはある事を理解しました。数日前に発表されていた、5日後の大阪プロ「ビリーケン・キッド選手プロデュース興行」のメーンカードの意味を。そのカードとは...。

 「ビリーケン・キッドvsアップルみゆき」

 アップル選手が強く望んでいたという、初のシングルマッチの実現。今回は2人にとって宝物になるであろう一戦をレポートするとともに、新たなスタートを切る"アポたん"にエールを送ります!

 


 ◇    ◇

 


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◆ビリーケン・キッド選手


――今回のプロデュース興業のメーンはビリー選手とアップル選手の一騎打ち。なぜこのカードが組まれたのですか。


 ビリー選手「今年の2月、沖縄で『KADENAバトルフェスタ』というプロレスイベント大会がありまして、僕もアップルさんも参戦してたんです。そこでの雑談の中で、アップルさんが『私は大阪プロレスのほとんどの選手とシングルマッチしてるけど、まだやってない数人の中の一人がビリーさんなんです。今度良かったらシングルマッチしましょう』と。その時は機会があれば...という感じで返したんですけど、小柄な女の子ですから、実際には難しいかな、と思っていました。その後に、アップルさんが沖縄に行くことを知らされて、それなら、何とか実現させようと思うようになりました。」


――そんな時に、平日の選手プロデュース興業が始まった。


 ビリー選手「そうなんです。ちょうど大阪プロレスは毎週の金曜日を選手プロデュースの日にする、という話がありまして。これならできるぞ、と。アップルさんにスケジュールの確認をしてから、私のほうから会社に言って、このタイミングでやらせてもらうことになりました。」


――男女の試合はコミカルマッチになることが多いですが、今回は。


 ビリー選手「今日は大一番用のコスチュームをもってきました。コミカルな試合をするつもりはないです。正直、沖縄に行く前に、アップルさんに怪我させてしまったら困るな...という感じもあるんですが、彼女もそれなりの覚悟で私に挑んできたはず。それならその思いに応えないと。今はタイミング悪く(小学生無料の)春休みプロレス中(苦笑)。会場がどんな雰囲気になるか怖い部分もありますが...女の子が男子と試合するのって、もの凄いハンデだと思うんです。力も体力も全然違うし。彼女は損な役割も多かったですし、受けていたダメージも大きかったでしょう。大阪で楽しかったこと、辛かったこと、いっぱいあったと思うんですよ。そういうものをぶつけてきてほしい。僕も僕なりの愛情を試合の中で彼女に伝えたいですね。」

 

20130401-03.jpg◆アップルみゆき選手


――琉球ドラゴンプロレスリング入団のいきさつは。


 アップル選手「今年の2月の『KADENAバトルフェスタ』に参戦したんですけど、その大会をプロデュースしていたグルクンマスクさんから『実は団体としてやろうと思ってる』と聞かされて。所属にならないかと誘われたんです。私はフリーになって5年近くになるんですけど、どこかに所属したいと考えるようになってたんです。何だろう...寂しくて(笑)。それにぶっちゃけ、大阪だと仕事も少ないんですよね。月に何試合あるかも読めないし。色んなコトを考えましたが、やっぱり一番の理由は、私を必要としてくれたこと。誘ってくれたのがもの凄く嬉しかったんです。」


――リングネームも変更になるんですね。


 アップル選手「はい。『アップルみゆき』は変な名前だなーと思いつつも(笑)、12年使ったので愛着もあるし、それにTAKAさん(TAKAみちのく選手。かつてアップル選手が所属していたKAIENTAI―DOJOの代表)からの初めてのプレゼントでもあるし...。でも、今までのイメージが強いので、新しく生まれ変わる意味で改名することにしました。初めは沖縄限定でのネーム変更も考えたんですけど、それでは沖縄以外で試合する時に、琉球ドラゴンプロの宣伝にならないですから。」


――あちらへ移住することになりますが、沖縄への思い入れは?


 アップル選手「実は沖縄には3回ぐらいしか行ったことがなくて(笑)。大きな思い入れとかはなかったんですけど、その3回で凄く好きになりました。実は昨日まで沖縄にいたんですけど、グルクンマスクさんに色んな所に連れていってもらって..."洗脳"されましたね(笑)。沖縄では、時間がゆっくりと流れている感じがしました。人が穏やかで、住んでいる人もみんな沖縄が好きなんだな、って。以前に試合をした時も、お客さんが温かくて。不安もありますけど、今は楽しみのほうが大きいですね。」


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――ビリー選手とのシングルマッチを強く希望していた。


 アップル選手「ビリーさんにシングルマッチをしたい、と言ったのは沖縄行きを決めてから。でも、実際には時間もないし無理だろうなと。そしたら本当にカードを組んでくれて。嬉しかったけどビックリしました。男の人が女子選手とシングルマッチやるのって、メリットってないと思うんです。逆に評価を落とすリスクさえある。それでも...私は単純にビリーさんが好きなんですよね。凄く真面目で、ストイックで...憧れです。今シングルマッチをしないと、この先もないかなと。沖縄に行く前に、絶対にシングルでやりたかった。」


――いよいよビリー選手との試合ですが、どんな決意で臨みますか。


 アップル選手「怖さもあるんですけど、あんまりお客さんを意識しないでおこうって。ビリーさんのプロデュース興業と聞いて、メーンが私とビリーさんのシングル?って驚いて。お客さんも、もっと見たいカードがあったはずだったんです。ずっと悩んでたんですけどでも...『もういいや!』って(笑)。このシングルは最初で最後になるかもしれない。それなら、私が楽しむしかない。私が一番楽しんじゃう(笑)。胸を借りて、自分の思いをぶつけます。ビリーさんならどんなコトも受け止めてくれそうな気がするし。悔いの無いようにしたいです。」

 


◇    ◇

 

 そしてついに、2人が望んだ試合が始まろうとしています。興行は平日としては上々の客入り。大会終了後には観客71人と発表されました。

 

20130401-05.jpg 抽選会が終わり、メーンイベント。リング上でアップル選手とビリー選手が対峙(たいじ)します。果たしてどんな試合になるのか...。ゴングが鳴りました。しばらく動かずに視線を合わせる2人。両者の胸に去来するものは...。

 


20130401-06.jpg 一度試合が動くと、予想されていたことですが、序盤から一方的な展開に。ビリー選手は容赦なくアップル選手を攻撃していきます。屈強な男性レスラーが、華奢な女性レスラーを痛めつける...。一見さんも多かったこの日の会場は、異様な空気に包まれました。

 

 

20130401-07.jpg 防戦一方のアップル選手でしたが、タイミング良くカウンターキックを決めると、メサイア(旋回式DDT)、そして場外にエスケープしたビリー選手へ決死のフライングボディアタック!これぞアップル選手の持ち味!危険を顧みない体を張ったファイトで、大阪のファンを魅了してきたのです。

 


20130401-08.jpg ビリー選手も反撃を受けて、さらに厳しくアップル選手を攻め立てます。ここまで非情に徹している姿は滅多に見ることはありません。グラウンドで締め上げると、アップル選手の泣き声にも近い悲鳴が会場に響きました。

 

 

20130401-09.jpg それでも心折れることなく、力の限り攻撃していくアップル選手。雄叫びを上げながら、全身を弓のようにしならせてエルボーを打ち込みます!試合前に「全てをぶつける」と宣言していた通り、ひとつひとつの技に思いを込めていきます!

 

 

20130401-10.jpg しかし、やはり地力の差は埋められず...次第に追い込まれていくアップル選手。奮闘もここまでか...しかしビリー選手が完全に決めに行った必殺技・コウモリ吊り落としからのフォールを、カウント2でキックアウト!なんという精神力!客席からは驚きの声が上がりました。さすがのビリー選手も信じられないといった様子です。

 


20130401-11.jpg 会場がどよめきに包まれました。ならばとビリー選手が繰り出したのは、肩車した相手を頭から垂直落下させる技「ベルティゴ」。年に数回、ビッグマッチにしか出さない最大級の必殺技です。まさか、そこまでするとは...。女子選手にかけるのは間違いなくこれが初めて、そしてこの先にもないでしょう。試合後にビリー選手が「はなむけというか、餞別(せんべつ)代わりです」と話した一撃でアップル選手は力尽き、3カウントが数えられました。

 

◆シングルマッチ30分1本勝負

○ビリーケン・キッド
[ベルティゴ→片エビ固め11分48秒]
●アップルみゆき

 


20130401-12.jpg ビリー選手「アップルみゆき!ありがとね。あんたスゲエよ。女の子にしとくにはもったいない。凄い。みんな!今日のアップルみゆきはどうでしたか!...初めに言った通り、アップルみゆきは4月から沖縄に行きます。リングネームも変わります。アップルみゆきでいられるのはあと1カ月です。あと何試合できるかわかりません。アップルみゆきでいる間に、試合できて良かった。ありがとう。」



20130401-13.jpg アップル選手「最初『沖縄に行きます』とビリーさんにお伝えした時に、ビリーさんは『じゃあ沖縄行く前にシングルやろう』って言ってくれました。でも、時間もないし、失礼ですけど社交辞令だと思ってました。でも、ビリーさんは本当に願いを叶えてくれました。しかもビリーさんのプロデュース...平日とはいえメーンで、私とシングルを組んでくださいました。」

 


20130401-14.jpg アップル選手「最初はせっかくのプロデュース興業で、女の子の私とビリーさんのシングルなんかやって、お客さんが喜んでくれるのかなとか、全然お客さんが来てくれなかったらどうしようかなって。悩んだりしたんですけど、今日こうやって沢山の人が来てくれて、負けてしまったけど...私、ビリーさんとシングルができて良かったです。沖縄には行ってしまいますが、プロレスをやめるわけではないし、また大阪で試合することも絶対ありますので、お別れではないんですけど...本当に、今日はどうもありがとうございました!」


 

20130401-15.jpg エンディングではビリー選手の音頭で大合唱!

 

 「アップルみゆき、産地直送!」

 

 2人の熱意によって実現したシングルマッチが終わりました。ガッチリと握手を交わしたあと、ビリー選手は肩車でアップル選手を祝福。充実した笑顔を浮かべる両者に、大きな拍手が降り注ぎました。

 

◇    ◇

 

 試合を終えた2人にお話を聞くことができました。

 

20130401-16.jpg ビリー選手「生意気な言い方ですけど、頑張っている彼女を見て、こっちも勇気をもらったというか...勉強させられますね。僕のほうが頑張らなくちゃという思いにさせられたので。まあ、彼女もまた大阪には来るとは思いますけど、知らない土地でまたイチからやっていくというのも大変だと思うんで、健康第一で、怪我と病気には気をつけて、なんとか成功してほしいです。ガッツのあるアップルさんなら、どこへ行っても大丈夫だと思います。」

 


 アップル選手「ホントに殺されるんちゃうかと思いました(笑)。思いっきりやれたし、全部受け止めてもらえたので。無事に終わってホッとしてます。もう、みんな今日は私に優しくて(笑)。会場のお客さんの声援も聞こえました。本当に嬉しかったです。

 大阪に未練がないと言ったらウソになります。私は大阪プロの所属じゃなかったけど、お客さんも温かく応援してくれて、選手の方たちも優しくて。大阪に来たことを後悔したことは一度もないです。寂しくなりますけど...プロレスをやめるわけじゃないので、また帰って来た時に『成長したな』って思ってもらえるように、沖縄で頑張りたいです。

 沖縄のプロレスファンの皆さん、とりあえず私のモットーは『私が一番楽しむこと』。自分が楽しく試合しなければ、お客さんも楽しくないと思うので。沖縄の皆さんが元気が出るような、日常にあるイヤなことも全部忘れて楽しんでもらえるようなプロレスをしたいです。皆さんの期待に応えられるように頑張ります。よろしくお願いします!」

 

 

◇    ◇

 


20130401-17.jpg きらびやかなスポットライトを浴びることは少なかったけれど、どんな損なオファーも引き受け、決して腐ることなく、コツコツと、そして全力でプロレスに取り組んできました。この日、ビリー選手とのシングルマッチで見せた姿は、泥臭くても、不格好でも、アップル選手の生き方をギュッと濃縮したものでした。

 大阪では桜が満開。この桜が散り新緑が輝くころ、アップル選手は南の島で新たなレスラー生活をスタートさせます。4月1日、琉球ドラゴンプロ代表・グルクンマスク選手のブログで、アップル選手の新リングネームが「ハイビスカスみぃ」となることが発表されました。

 グルクン選手によると「彼女のイメージカラーは赤なので、赤くて沖縄の象徴的な花としてハイビスカスを選びました」とのこと。また、ハイビスカスは団体の本拠地が置かれる嘉手納町の花でもあるそうです。元気いっぱいのアップル選手にピッタリではないでしょうか!このリングネームが使われるのは4月28日の琉球ドラゴンプロ旗揚げから。同時に「アップルみゆき」という名前はひとまず封印されることになります。

 名前が変わってもアップル選手の魅力を、沖縄で爆発させてほしい!新たなリングネームのように鮮やかな花を咲かせてほしい!大阪で愛され続けてきたアップル選手ならば絶対にできるはずです。いま新たなスタートを切ろうとしている"アポたん"に大きなエールを送りたいと思います。

 

 

 チバリヨー、アップルみゆき!

 ※チバリヨーー=沖縄の方言で「頑張れ」


 

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