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男性
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兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

我闘雲舞、異国で追いかける女子プロレスの夢<後編>

2012年7月20日 03:08

2012-0720-01.jpg タイで女子プロレス新団体「我闘雲舞(ガトームーブ)」の旗揚げを目指している、さくらえみ選手と米山香織選手。今回は大阪でのイベントに潜入し、インタビューを敢行しました。まだ前編を読んでいない方は、


我闘雲舞、異国で追いかける女子プロレスの夢<前編>


 を、どうぞ。

 後編ではインタビューの後半、そしてこの当日の夜、JWP大阪大会で行われたJWPタッグ2冠戦をリポートします。


 

◇    ◇


 

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◆他人ではなく、ただ自分で夢を叶えたい

 

――さくら選手にお聞きします。アイスリボンを電撃退団、その後にタイで新団体を立ち上げると発表して、批判などはありましたか。


 さくら選手「今は批判レベルにもなっていないというか、存在を知られていないので(笑)。知られないと批判されないですから、そこにもまだ到達していないですね。アイスリボンのファンの方たちも"またさくらが何かやってんな"ぐらいの感じでした。」


――今回のタイ行きは、一発当ててやろうというビジネス的なものなのか、ゼロから再スタートしようというフロンティア精神なのか。


 さくら選手「フロンティア精神は特にないです。いつもそうなんですけど、この業界にいる中で、プロレスが好きだし、プロレスに対して、自分が持っている少女の夢を叶えたいという思いもあるので、それを貫きたいだけなんですね。新しい地で自分が何か新しいものを興して...という思いもなければ、皆さんのためにプロレスを、という思いもありません。ただ自分で夢を叶えたい、そのために他人と同じことをやっても競争に勝てないから、みんながしてないコトにチャンスを求めているんです。」


――タイに移り住んで2カ月半。この先、我闘雲舞を続けていける手応えはあるのでしょうか。


 さくら選手「誰にやりなさい、と言われているわけでもないので、自分がやりたければやれるし、辞めたければ辞めれる状況の中で...うーん、辞めたら辞めたで、それは物語なので。やれなくはないです。今の私には我闘雲舞しかない。日本に帰ってきてもできることはないので。自分がプロレスををやっていくために、何をしなければいけないかを常に考えていきたいです。」

 

 

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◆我闘雲舞は"新しい恋人"

 

――米山選手にお聞きします。タイ行きマッチに敗れた直後は『タイに行きたくない』と言っていたのですが、現在の心境は。


 米山選手「最初はイヤだったんですけど、イヤだって言ってもやらなくちゃいけないですし。どうせやるなら、イヤイヤやるよりも楽しんだほうがいいですし。今はタイの生活も、旗揚げに向けての現地での取材だったり、練習生の練習だったり、全部前向きに楽しめています。」


――当初の約束期限である旗揚げが終わった後も、我闘雲舞に関わっていきたいという思いは。


 米山選手「そうですね。愛着もありますし。その関わり方がどうなっていくかは分らないんですけど、ずっと関わっていきたい、という思いはあります。」


――所属しているJWPとの兼ね合いはどうなっているのでしょうか。


 米山選手「JWPは私にとって"実家"のような存在で、所属選手が家族だとしたら、我闘雲舞とさくらさんは"新しい恋人"ができたような感じです。実家ももちろん大事なんですけど、今は新しい恋人と新しいことを始めることに集中したいと思っています。」


――米山選手は現在のJWPをどのように見ていますか。


 米山選手「女子プロレスの歴史ある老舗団体...でも、少し重々しいというか、良くも悪くも..."重い"のかなぁ、って。」

 

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◆この経験をJWPに持って帰りたい

 

――米山選手は2011年12月に引退撤回騒動がありました。その負い目のようなものは、ずっと感じているのでしょうか。


 米山選手「責任をどう取るかと言われても、取れないんですけど、そう言われ続けることは覚悟してやっていくしかないんです。ただ『引退撤回して申し訳ありません、私のような者は試合ができるだけで満足でございます』みたいな感じだったら、引退撤回してまでプロレスをやる意味がないので。引退撤回するまでの約12年間ではできなかったことをやりたいんです。

 やっぱりさくらさんとJWPは正反対で。さくらさんの考え方とか、発信能力とか、そういうのは今のJWPに足りないところだと思うので、さくらさんと一緒に我闘雲舞をやることによって『それを盗んでJWPに持って帰る』という気持ちもあります。」


――JWPの総帥コマンドボリショイ選手が「米山はJWPを忘れてしまったのかも」と言っておられました。


 米山選手「JWPのベルトをタイに持っていってる時も、私は『JWPのベルトをもっと世界中の人に見てほしい』という気持ちがありました。我闘雲舞のサポートをすることが、JWPにとってもいい方向に向かうと思っているので、私が我闘雲舞に注ぎ込んで、それがJWPに悪いことになることは何もないと考えています。」


 さくら選手「今の話なんですけど、批判に対して『そんなことないですよ、JWPのためにやってますよ』と言いながら、誰かに誤解されることを恐れてやるよりは、個人的には『JWPのことなんて忘れてました、このベルトは何のベルトか分らないけどアクセサリーとして持っていきます』と行動した結果、最終的に振り返ってみたら、米ちゃんがやってたことはJWPのためになったんじゃないかな、って、気づく人がいればそれでいいぐらいだと思うんです。

 今、彼女が一所懸命に『そうじゃない』って誤解を解いて回らなくちゃいけない環境って...プロレスのはずなのに"ちっちゃいな"って思うし、もっともっと破天荒にやって、最終的に誤解されっぱなしでも構わないと思うんですよね。何か、みんながイイ子でいなきゃいけない、という考えは必要ないんじゃないかな、と私は思います。」


 

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◆"アサガオ"のように日々変化

 

――我闘雲舞の最終的な目標は。


 さくら選手「ちょっと大きすぎるんですけど、最終的にはアジアツアーをやりたいし、タイも巡業したいし、テレビ中継もしたいし...プロレスラーになることを希望する人が沢山いて困る、という状況を一回作ってみたい。それは私のプロレス人生の中で無かったことなので。」


――日本のファンにメッセージを。


 さくら選手「JWPさんと我闘雲舞を比べたとしたら、私はJWPさんは"サボテン"かな、と思うんです。決して枯れないけれど、昨日見ても今日見ても明日見ても、あまり変化がない。だけど私たち我闘雲舞は"アサガオ"。皆さんの宿題にしてもいいぐらい、毎日見てないと。形も色も香りも、周囲との関わりも変わっていく。我闘雲舞を目を離さず見てほしいと思っています。

 バンコク女子プロレスと言いながら、今は男子の練習生しかいません。その練習生が商品なのではなく、今、バンコクにいる女子2人、私と米ちゃんがバンコク女子プロレスの商品なんです。この形で頑張っていくので、これからも見てほしいです。」


 米山選手「サポートとしてタイに行き始めたので、何が何でも旗揚げさせたい、旗揚げする!という気持ちです。旗揚げの際には日本からもツアーを組んで、みんなに来てもらえるように、と考えています。」


――最後の質問です、2人にとって「我闘雲舞」とは。


 さくら選手「今は、私の全てです。」


 米山選手「私は、さっきも言ったんですけど、大事な恋人というか...」


 さくら選手「恋人できたことないだろーが。気持ち分かるのかよ。」


 米山選手「...。」

 

 

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◇    ◇


 

 インタビューを行った7月15日の夜には、JWPの大阪大会に出場。JWP認定タッグ王座&デイリースポーツ認定女子タッグ王座(JWPタッグ2冠)の王者として、KAZUKI&モーリー組を迎え撃ちました。我闘雲舞とJWPは現在、ベルトを巡って対立状態にあります。

 プロレス不毛の地・タイで活動するにあたって「日本の王者」という肩書きが有るのと無いのでは大違い。それだけが理由ではないのですが、ベルトを保持しておきたい我闘雲舞側と、我々のベルトをアクセサリーのように扱うな、と憤るJWP側。今回のタイトルマッチは、大会のセミでしたが大きな注目を集めていました。

 

2012-0720-07.jpg  序盤は挑戦者組に押され気味だったさくら&米山組。さくら選手がエプロンサイドから落下した際に頭部を負傷流血するアクシデントもあり、何度もピンチに陥ります。

 

 

2012-0720-08.jpg しかし、次第に挑戦者組を上回る連携を見せた2人。モーリー選手を捕らえ、ムーンサルトプレスを連続して放つ連携技をズバリと決めて追い込むと、最後は米山選手が必殺技・米―ZOUを決めて3カウント!さくら&米山組が2度目の防衛に成功です。


 

2012-0720-09.jpg その直後、JWPの総帥コマンド・ボリショイ選手と、中島安里紗選手がリングインし、次期挑戦者に名乗り。「悔しい」という言葉を連発したボリショイ選手は、目にいっぱいの涙を浮かべて訴えました。

 

 ボリショイ選手「米山!お前が引退撤回して、タイ行って、自分だけリセットして。リセットできない私たちはどうしたらいいんだよ?JWPは20年間、リセットしないで積み重ねてきた。積み重ねてきたから20年があるんだよ!」

 

 「自分たちの団体の歴史あるベルトを大切にしたい」というJWP側と、「自分たちが持っているほうがベルトが活用できる。私たちが一番ベルトの重みが分かっている」という我闘雲舞側。双方の主張は並行線をたどるばかり。そしてその間に挟まれている米山選手の、この時の複雑な表情は忘れることができません。

 何はともあれ、これによりJWPの8・19後楽園ホール大会での、さくら&米山組vsボリショイ&中島組が決定。女子プロレス界の今後を占う重要な一戦になりそうです。ちなみにJWP側の挑戦表明にも、さくら&米山組はあえてマイクを握らず。試合後のさくら選手のツイッターによると「今日は何があってもマイクは持たないと決めていました」とのことでした。

 

2012-0720-10.jpg この問題、個人的な意見としては...「どちらも間違っていない」と思うのです。どちらも正解ではないかもしれないけれど、どちらも何かを守るために、必死に、本気に戦っている。果たして双方が納得するハッピーエンドは訪れるのか。その行く末に注目したいと思っています。

 


◇    ◇


 

 全くプロレス文化のないタイで、新団体の旗揚げを目指すさくら選手と米山選手。言葉の壁、文化の違い、様々な批判...。その道は言うまでもなく険しいものです。それでも2人は、異国でプロレスの種をまき続けます。

 いつか「我闘雲舞」という名の、美しい花が開くことを信じて。


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