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兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

ビリーケン・キッドvs筑前りょう太、最後に笑えれば

2012年3月 3日 22:01

20120304-01.jpg 大阪プロレスのエース、ビリーケン・キッド選手が2012年3月2日、2度目の自主興行となる10周年記念大会「夢と元気をビリーから その2」を開催。対戦相手に選んだのはメキシコ修業時代の盟友で、現在は九州プロレスの代表を務めている筑前りょう太選手でした。


ビリーケン・キッド、10周年の対戦相手は最高の友

 

 体格差もあり、これまでビリー選手と筑前選手はシングルマッチで戦ったことはありませんでした。それでもビリー選手は「今回の相手は筑前しかいない」と指名。筑前選手もその思いに応え、九州でのトーナメントが行われている最中にも関わらず大阪にやってきました。ビリー選手が「お互いの10年間をぶつけ合う」と言えば、筑前選手も「絶対に負けられない」と決意を口にした戦い。今回はそのビリーケン・キッドvs筑前りょう太の試合をレポートします。

 

◇    ◇

 

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 ビリー選手のリングイン前。先に入場した筑前選手と、ロープを挟んで睨みあいます。ピリピリした空気が流れます。

 

 

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 いよいよゴングが鳴らされました。ガッチリと組み合う2人。どんな感情が溢れてきているのでしょうか。

 

 

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 筑前選手の攻撃は、一撃一撃が重い!チョップの打撃音に会場がどよめきます。

 

 

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 容赦なく攻め立てる筑前選手。やはりパワーでは筑前選手が一枚も二枚も上のようです。ビリー選手ピンチ!

 

 

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 押され気味だったビリー選手ですが、捨て身のトペを繰り出して反撃です! 

 

 

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 コーナーポストでの攻防。ビリー選手は何度も何度も叩き落とされながらも、そのたびに立ちあがって食らいついていきます。 

 

 

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 ビリー選手のショルダーアームブリ―カー!まともに戦うのは不利とみたのか、筑前選手の右腕に攻撃を集中させる作戦に出ます。 

 

 

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 ビリー選手の必殺技・コウモリ吊り落としがさく裂! 

 

 

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 筑前選手も負けてはいません。ビリー選手に強烈なエルボーを叩き込みます。 双方、座ったままでエルボーや張り手の交換。まるでこの10年間のことを伝え合っているかのようでした。 

 

 

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 ビリー選手が試合前に「どれだけ痛いのか知りたい」と言っていた筑前選手のチョップ。その威力にビリー選手の表情が歪みます。 

 

 

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 集中攻撃を続けていた筑前選手の右腕を捕え、ビリー選手のエスペランサ!試合が終わってもおかしくない決まり方でしたが、筑前選手は何とかロープエスケープに成功。逆にビリー選手は最大の勝機を逃がしてしまいました。 

 

 

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 疲れが見えるビリー選手を、筑前選手が持ち前のパワーで追い詰めていきます。 

 

 

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 最後は筑前選手のボディプレス2連発(まっすぐとぶばい→とぶばい)で3カウント。説得力十分のフィニッシュです。20分を超える熱戦にピリオドが打たれました。

 

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◆スペシャルシングルマッチ 時間無制限1本勝負

●ビリーケン・キッド
[とぶばい→片エビ固め22分19秒]
○筑前りょう太

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 健闘をたたえ合う2人。この試合に勝者も敗者もいません。会場は万雷の拍手に包まれました。

 

 

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 ビリー選手「お前のチョップ、これまで受けたどんなチョップよりも痛かった。でも、一番気持ちよかった。昔、一緒にトレーニングして...ジムの片隅でチョップの打ち合いしてたなあ。お前のおかげであの辛いメキシコ修行を耐えられたし、今があると思う。メチャクチャ感謝してる。メキシコは本当に辛いことばかりだったけど、俺はメキシコに行って、心底良かったと思っている。なぜなら...お前に出会えたからだ。お前がいなかったらビリーケン・キッドは存在しないし、俺はメキシコでプロレスを辞めていた。それは間違いない。

 

 

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 お前が先に日本に帰って頑張っている姿を見て"俺も負けられない"と必死でトレーニングした。ここでお前との思い出話を話してたら、夜が明ける自信があるよ。みんなに筑前りょう太という男を知ってもらいたかった。こんなに素晴らしい男を。だから俺は今日、お前と試合がしたかった。俺はお前のこと大親友だと思っている。そんなお前と大阪プロレスのリングで戦う日が来るなんて、メキシコにいる時は考えもしなかった。世の中ってわからんな。お前がリングで待っている姿を見たら嬉しくて、緊張して、向かい合ったら涙が出そうになった。でも試合前から泣くわけにはいかないからな。...お前のチョップで泣きそうになったけど(笑)。」

 


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 筑前選手「14年前、地球の反対側でコイツ、どんな格好してたか。Tシャツに短パンにウエストポーチ。何でもないヤツですよ。ただ心の中に持った思い...将来、あこがれの大阪プロレスのマットに上がるって。お前があの時のお前だって、信じられねえ。信じられないけれども、アンタなんだよね。ドジでマヌケで、いつもみんな笑かしてたけど、お前だよなあ!アンタと、アンタがあこがれた大阪プロレスのマットで、メーンイベントでやりあえて最高やった。今日のカード組んでくれて本当にありがとう!」

 

 

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「九州ば元気にするバイ!」


 

 ビリー選手「本当にいろいろと話したいことがあるんですけど、今日はこのリングで筑前りょう太と精いっぱい戦って。それを皆さんに伝えたつもりです。伝えられない部分はこれから20周年、30周年と続いていくビリーケン・キッドのプロレス人生で伝えていきたいと思います。皆さんもこれに懲りずに、これからも応援よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました!」

 


 エンディングで場内に流されたのはウルフルズの「笑えれば」。

 

 ♪とにかく笑えれば 最後に笑えれば...

 

 歌詞が2人の姿に重なり、胸に熱く響きます。辛いことばかりだったというメキシコ修業時代。でも、その苦しい時代があったからこそ、今の2人がいる。こんなにも凄い試合を見せてくれる。そしてこんなにも素晴らしい笑顔を見せてくれる。もちろん客席にも、キラキラと輝くような笑顔が広がっていました。この大会の締めにぴったりの選曲でした。


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◇    ◇

 

 試合後の2人に、バックステージでお話を聞くことができました。

 

◆筑前りょう太選手

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――ビリー選手との初めてのシングルマッチが終わりました。


 「いやー、どんな試合になるのか全然想像がつかなかったですけど。戦ったことがないですからね。近くにいても敵として見たことはなかったので。"いち対戦相手"として、10周年大会に相応しい中身のあるものにできるか、凄い不安だったんですけど。でも、結局考えても考えても"素"の自分たちをぶつけるしかない。それができる相手ですし。あいつに対する全ての思い入れを、試合に込めることはできたかな、とは思いますね。」


――試合前に宣言していた通り、ビリー選手から勝利しました。


 「僕はこれで『あいつより強かった』だとか『あいつより上回っている』なんて感情は一切ありません。かえって、あいつとの差を見せ付けられたのかな、という気がするんですよね。勝ったけど勝ってない...というか、色んな面で、あいつの方が先に行っているな、という。たまたまスコアとしては筑前が勝ったというだけですね。白星以上の何か、というのはあいつにあるな、と思いますよね。」

 

――言うまでもなく、筑前選手にとってビリー選手は大きな存在なのですね。


 「僕にとっては"関わりがい"の塊ですよね(笑)。何があろうと関係ない。あいつと一緒にいれば笑顔になれるし元気になれる。あいつといると自分以上の自分になれる。」


――試合中、メキシコ時代のことを思い出したりはしましたか。


 「いやー、本当にメキシコ修行時代と一緒のヤツかな、という感じはありました。あまり思い入れの中の、2人だけの世界の試合にしたくなかったんで、そういうのは出さないようにしたんですけど。でも、やっぱり出ちゃいましたね、最後のマイクとか(笑)。明日につなげる自分たちを表現したい、というのはあったんですけど、その前に"本当に俺たち、あこがれた大阪プロレスのマットで、メーンで戦っているのか"って、噛みしめる試合になってしまった気がしますね。」


――筑前選手は九州プロレスでトーナメント戦の真っ最中(最強九州男児決定トーナメント。20日に決勝戦が行われる)。ビリー選手との試合は大きな刺激になったのでは。


 「そうですね。これ以上ない刺激になりました。また新たな思いで、九州最強の座に向けて頑張ることができますね。(ビリー選手との戦いで)プロレスに対する信頼度も増したし、リングに命を賭けても間違いない、ということを、あいつを通して確信を得ました。いい感じで九州に帰れそうです。」


――ファンの皆さんにメッセージを。


 「まだビリーとの戦いは続いているし、今日勝ったことで、逆にあいつの凄さ、素晴らしさを思い知らされました。本当の意味であいつに勝ちたい...次こそは。だからまた九州で強くなって、蓄えて(大阪に)帰って来たいですね。あいつとは常に勝負してる感じなので。それがリング上での戦いになるのかどうかは分からないですけどね。」

 


◆ビリーケン・キッド選手 

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――筑前選手との初の一騎打ちはいかがでしたか。


 「正直、試合になるか不安だったんですけど(笑)。筑前は体がデカイですし、ほぼ初対決なので、どうかなと思ったんですけど。思った以上に試合になったかな、という感じでホッとしましたね。」


――試合前に宣言していたように、自分の10年間をぶつけることはできましたか。


 「いや~、ちょっと足りなかったですね(笑)。もうちょいぶつけたかったんですけど、僕が耐え切れなかったですね(笑)。予想以上のチョップの痛さで、一発で心が折れそうになりました(笑)。自主興行じゃなければ、チョップ一発で終わってましたね(笑)。」


――会場の声援が凄かったです。


 「いつもそうなんですけど、やっぱり声援はありがたいですね。くじけそうな時も、皆さんの声援で"負けられない、耐えなければ"という感じで。10年続けられたというのも、お客さんの後押しのおかげなんで。それがある限りは(プロレスを)続けられる思いますし、それに甘えることなく、自分も精進していかなければいけないな、と改めて思いました。」


――メキシコ時代のことは思い出しましたか。


 「リングに上がる時、あいつがリング上にいて。何か凄い感慨深いものがありました。緊張して、リング上で向かい合った時は感極まって泣きそうになりました。でも、一発のチョップに、あまりの痛さに目が覚めましたね。全てのセンチメンタルな気持ちは吹っ飛びました(笑)。」


――試合はビリーさんが敗れましたが、筑前さんは「あいつの凄さを思い知らされた」と言っていました。


 「あんなもんで凄いと思われたら(笑)。まだまだ抜いてない刀があるので、それは次回の楽しみに。ビリーケン・キッド15周年の時にリベンジしますよ。」


――ビリー選手は先週のタイトルマッチで敗れ、大阪の王座から陥落してしまいました。このタイミングでの筑前選手との対戦は大きな意味があったのでは。


 「グッドタイミングでしたね(笑)。正直(王座陥落して)気が楽になったのもありますしね。ベルトを失って、自分のやりたいプロレスができるかな、という思いもあるんです。ここからまた、僕の勝負だと思います。ここから下っていくか、また上がっていくか。今はあまりベルトのことは考えてないです。自分を見つめ直しながら、プロレスを楽しんで進んでいこうと。その先にきっと"待っているもの"があると思うので。」


――ファンの皆さんへメッセージを。


 「皆さんの応援がある限り、ビリーケン・キッドは20年、30年と戦い続けます。これからも皆さんに、夢と元気を与えられる存在であるよう、僕も精進していくので、これからも声援をよろしくお願いします!」


◇    ◇

 

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  ビリーケン・キッド選手と筑前りょう太選手、試合後の2人の表情は充実感に溢れていました。

 

 ビリー選手は1週間前に大阪の王座から陥落したばかり、しかも激戦だったタイトルマッチ直後はコメントも出せないほどの身体的ダメージを受けていました。2日後からは試合に出場していましたが、数日間は身体を動かした後は頭痛で動けなくなるような状態だったといいます。それでも、この筑前戦に合わせてしっかりとコンディションを整え、こんなにも素晴らしい試合を見せてくれました。世代交代なんていう言葉も聞こえてきますが、まだまだビリー選手は元気です!


 筑前選手とは今回初めて話をさせて頂きましたが、試合中の厳しい表情とはうって変わって、とても人懐っこい笑顔をされるのが印象的でした。お話を聞きながら、ビリー選手が「筑前りょう太という素晴らしい男をみんなに知ってほしい」と言っていた理由が分かった気がしました。そしていつか、この人が代表をしている九州プロレスを見に行きたいと感じました。

 

 ビリー選手と筑前選手、それぞれの10年間が詰まった一戦が終わりました。しかしそれはただ、一区切りというだけに過ぎません。大阪と九州、それぞれの場所で2人は戦い続けます。そしてこのこの自主興行のサブタイトルのように、ファンに夢と元気を与えてくれるに違いありません。

 

 日本の裏側・メキシコから始まった2人のプロレスラーの物語はまだまだ続きます。これから苦難もあると思います。でも、もしこの物語に終わりがあるならば、ラストシーンは、もう決まっている気がするんです。

 

 そう...2人の笑顔。とびっきりの、笑顔です。

 

 

◇    ◇

  


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 ビリーケン・キッド選手と筑前りょう太選手、2人のサインが入った色紙と、会場で販売されていたビリー選手の入場曲「PARTY TIME」のCD(スタッフRが自腹で購入)をセットにして1名様にプレゼントします。サインは日付入り、お互いにひとことメッセージを入れてもらった一品です。プレゼントの応募方法は題名に「ビリー筑前色紙プレゼント」、本文に郵便番号、住所、氏名、年齢を明記の上、もし良ければブログの感想や今後取り上げて欲しいもの、その他意見などあれば何でも書いて、k-kakuto@daily.co.jpまでメールしてください。締め切りは3月10日の19時まで。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

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