プロフィール

プロフィール写真  

● 性別
男性
● 都道府県
兵庫県

デイリースポーツがお届けする、プロレス・ボクシング・格闘技・etcの総合情報サイト「特選格闘技」スタッフの一人。神戸本社に勤務しており、関西での興行やイベント等には自ら足を運んで取材することも。ブログのタイトルは、プロレスの「ロープブレイク」と“ほっと一息”の「ブレイクタイム」を合わせたもの。ニュースの補足やちょっとした裏話まで、様々な話題を更新していきます。

ビリーケン・キッド、運命のハブ男戦へ~インタビュー<後編>

2011年1月21日 21:35

 

b-1.jpg 1月23日の初自主興行を前に、大阪プロレスのビリーケン・キッド選手にインタビューを行いました。今回は後編です。まだ前編を読んでおられない方は

 

 ビリーケン・キッド、運命のハブ男戦へ~インタビュー<前編>

 

 を先にどうぞ。


◇    ◇

 

b-2.jpg 

◆大阪プロレスの分裂、沖縄プロレスとの関係

 
――2008年、大阪プロから分裂する形で沖縄プロが生まれたわけですが、それを当時のビリー選手の中で、どういう形で消化されたのでしょうか。

 

 「その時、僕は腕を骨折して欠場中だったんです。ずっと試合を客席から眺めていて。みんながどんどん遠くの世界に行ってしまうのを感じて。その中でハブ男のことを気になって見てますから、特に凄まじい光を放っていて..."こんな選手と戦っていたのか。もし復帰しても前と同じように戦えるのか"という不安を感じて、焦って。結局、大阪と沖縄に分かれるとなった時、彼の大阪プロ最後の試合は客席で見ていました。空しいというか、リング上にいられなかった自分が情けなかったですね。ただ、お互いプロレスを続けて、また戦いたいという気持ちがあれば、いつかリングで会う時が来るだろうとは思ってたんですが、それがまさか自分の自主興行とは(笑)。」

 

――大阪プロと沖縄プロは微妙な関係にあります。今回の対戦を実現させるにあたり困難もあったと思いますが。

 

 「本当にお互いの素直な気持ちを(それぞれの団体の)トップにぶつけて、それを了承してもらった、とういうことですよね。でも、これをきっかけに両団体の関係をどうこう、ということは考えていません。今回はあくまで選手間、個人での戦いなので。そこの部分は期待しないで下さい。まぁ後々にそういうことになって、今回のことがキッカケになったとなれば僕も嬉しいですけど、プロレス界はどうなるか分からないので。"絶対"はないですから、何とも言えないですけどね。」

 

b-3.jpg

 

◆迫る運命の一戦...期待と不安の間で 


――数日後にハブ男選手との対戦が迫っています。今の率直な思いを聞かせてください。

 

 「期待と不安と喜びと...色んな感情があります。うーん、今の自分がハブ男に通用するのか、という不安ですね。」

 

――期待よりも、不安のほうが大きい?

 

 「そうですね。彼のほうが勢いがあると思うので。関東の団体で頑張ったら沖縄の若い選手たちにも夢を与えられるっていう、そういう彼の気持ち...そういうものを背負って戦っているというのは、並々ならぬ信念があると思いますし...(沈黙)。でも僕自身が「ビリーケン・キッド」というものに悩み、もがいている部分があるので。それを払拭(ふっしょく)する一戦にしたいと思っているのですが。もし"こんなもんか、ビリーケン・キッドは"と思われるようだったら、一気に潰してもらって、ライバル関係に終止符を打って欲しい。でも"悔しい"という思いが僕にある限り、この関係は終わらないですし、終わらせないです。(沈黙)...どうなっちゃうんですかね。楽しみもあり、不安もあり...。」

 

(長い沈黙)

 

 「僕は最近...チャンピオンの時は特に、周りの目を気にして試合している部分がありました。みんなどういう風に自分を見ているんだろう、この試合をどう感じるんだろうって。お客さんというより選手に対してなんです。客席から見ているうちの選手が、僕の試合をどう見ているんだろうって。何か、人の目を気にしながらやってた部分があって。なんか自分自身、変な苛立ちの中でやってた部分もあったと思うんですね。ただハブ男との試合に関してはそんなもの全く気にしないでやろうと思っています。僕たちにしかできない試合...誰が何と言おうが関係ない。僕らの感情を思い切りぶつけ合って、僕らの肉体を削って、お互いブッ倒れる...精魂尽き果てるような試合をしたいですね。それができる相手ですし。どっちが先にネを上げるか分からないですけど。昔、長州力さんが"プロレスとは感情だよ"って言ってたんですけど、それを聞いた時はいまいちピンとこなかったんですね。でも最近になってそれが分かるようになってきました。」

 

――ハブ男戦はビリー選手にとって、大きなターニングポイント(変わり目)になりそうですか。

 

 「なりますね(即答)。なんか僕がつまづいている時に彼と当たって、吹っ切れて次のステップに進めるってことが何度もあったんです。変な話、今回はそういうチャンスなのかなって。このモヤモヤした気持ちを振り払って次のステップに進める...それができなかったらもう、僕自身も...先は長くないのかなって...そういう不安もあるんですよね。次のステップに進む戦いができるという期待と、それができなかった時、どうなるんだろうという不安...こればっかりは試合が終わってみないと分からないですね。」

 


◆プロレスの素晴らしさを伝えたい

 

――最後にファンに皆さんへ、自主興行の開催に向けての言葉をお願いします。

 

 「この対戦カード(ビリーvsハブ男)を発表して...僕はお客さんが一番喜んでくれるカードを提供できて、僕自身、一番戦いたい相手、戦わなければならない相手...お客さんと僕のニーズがガチッとハマたっていう、そういう対戦相手に恵まれたことは嬉しいですし...できれば沢山の人に見てもらいたいんで、チケットが無くなって(完売して)しまったことは嬉しい反面、申し訳ない気持ちなんですけれど。ただ来れなかった人には申し訳ないですけど、見れなかったことを後悔させる試合にしたいと思います。そして来たお客さんには、本当に来て良かったと思わせたい。プロレスも、ビリーケン・キッドもハブ男も知らないお客さんも来ると思うんですけど"プロレスってこんなに凄いんだ、こんなに楽しいんだ、こんなに面白いんだ"って思ってもらえる大会にしたいですね。」


b-4.jpg 

◇    ◇


 30分以上のインタビュー。胸に湧き上がるものを言葉にしつつも、時には熟考し、ひとつひとつの質問に丁寧に答えるビリー選手の姿が印象的でした。ひとつの試合を前提にしたインタビューにも関わらず、「絶対に勝つ」とか「決着をつける」などといった言葉は一度も出てきませんでした。今さら言うまでもなく、この一戦には勝敗以上に大切なものが込められているのですね。

 

 実は私は、ハブ男戦に向けての思いをビリー選手から聞くのは初めてではありません。2カ月半ほど前、まだ自主興行が発表されて間もない頃です。...別の取材をさせて頂いている時に、ふと自主興行のことを聞いてみたのです。するとビリー選手の口からは、次々と驚くほど熱い思いが語られました。思わず「そんなことまで話していいのですか?」と尋ねると、ビリー選手は「僕も誰かに話したかったのかもしれません」と笑っておられました。私は軽い気持ちで聞いてしまったことを恥じて、そこで聞いたことを胸の奥にしまうことを決めました。

 

 あれから時が過ぎ、自主興行当日が近づくにつれ、ビリー選手の思いを「伝えたい」、さらに「伝えなければ」と思うようになりました。まがりなりにも"伝える"ことができる立場にいる。ならば行動に移さなければ、今の仕事を続ける資格もない、と。そして今回、正式なインタビューを行うことができました。ビリー選手、そして大阪プロさん、この場を借りて改めてお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。伝えることの難しさ、そして大切さを教えられたような気がします。

 

 いよいよ2011年1月23日、ビリー選手とハブ男選手がリング上で対峙(たいじ)します。どんな試合になるのか想像もつきません。ただ、2人のプロレスラーの生きざまを、しっかりと胸に刻みたいと思っています。


b-5.jpg