スペインに見るクラブビジネスの傾向

2016年4月20日 18:28

少し前のことになりますが、僕の住んでいる地元でRCDマジョルカが創立100年を迎えたということでイベントが行われました。

 

ここで登場したのが年明けから新たにオーナーになった米国人グループの活躍ぶりです。直径3mはあるパエリア鍋の前に立ち、長蛇の列を作ったファンを前に2時間近く一人一人に料理を取り分けて配るサービスを展開。いわゆる"外様"の外国人がスペインの代表的料理を準備し地元民にふるまうというのは見方によっては滑稽にも映る光景ではありましたが、彼らの本気度をアピールするという意味ではなかなかのパフォーマンス効果があったように僕の目には映りました。

 

この米国人グループ、説明しておくと、、、

①投資家でNBAフェニックス・サンズの主要オーナー、ロバート・サーバー

②元NBA選手、スティーブ・ナッシュ

③元プロテニス選手、アンディー・コールドバーグ

 

と、なかなか豪華な顔ぶれ。だからといってこの世界で成功が約束されるなんてことはありませんが、少なくとも素性の分からない怪しい人物ではなく、とりあえず当面資金的に問題を抱えることだけはないと考えられます。

 

ちなみに昨年までの筆頭株主もドイツ人で、同クラブでは2代続いて外国人資本にクラブ運営を託すことになっています。

 

スペイン国内に視野を広げてもこの傾向は共通していて、2010年にマラガがカタール王室の一員、アル=タニ氏に買収されたほか、2年前にはシンガポールの富豪、ピーター・リム氏がバレンシアのオーナーとなりました。また昨年には中国人の富豪がアトレティコ・マドリードのクラブ株20%を取得、さらにエスパニョールは別の中国人投資家が筆頭株主になるなど、非スペイン人のスペイン参入は速度を増しています。

 

考えられる要因としてはスペインの資産家・企業にそれほど競争力がないとも言えるのかもしれないですが、やはり一番は外国人にとって魅力があるということなのでしょう。上述のサーバー氏は以前にレバンテやヘタフェの買収にも動いた経緯もあります。外国人として入り込み易く(障害が低く)、同時にトップリーグの一員となればバルセロナやレアル・マドリードと対戦できるということで世界的な知名度を上げることも可能というのが魅力として想定できます。

 

もう一つ特徴として挙げることができるとすれば、こういった人物は少なからずプロジェクトの象徴として存在しているということ。スポンサーですから最終決定権はありますが、日々の運営や方針決定は別に一任した人物が担当しています。

 

マジョルカを例に挙げると上記3人は常駐しているわけではなく、現地に取締役を置き運営を一任するとともに連絡を受けながら必要があれば遠隔操作しているようです。ナッシュも現役引退後の今は米国内で若手育成のプロジェクトに関わっていていたり自身の財団など活動の幅は広いようで、そのそれぞれに自身の意思を把握している人物・グループを送り込む、または一任しているものと思われます。

 

つまりこの点から、企業優先でそこから代表者が送り込まれ、イメージ戦略や利益追及といったまず企業ありきの視点からクラブ(またはプロジェクト)運営されるスタイルとは発想が全く逆のシステムだと考えられるのです。

 

早い話がサッカーの世界はピッチレベルの選手や監督から運営レベルの経営者、投資家までほぼ全員がいわば顔が見える個人としてそれぞれの土俵で戦っているということなのでしょう。競技的にはチームスポーツで仲間と協力しなければ勝利を掴めないものですが、一つ一つの個の部分が少なからず結果に影響しており、個のアピールの場としてグループが存在しているのです。

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